モモとジジ 2
モモが散歩に出ていなくても、子どもたちは劇場を船のつもりにして航海ごっこをしようと思いつくのですが、そこにモモが帰ってくると、子どもたちのファンタジーはますます拡がります。
オバケクラゲとたたかったり、さまよえる台風に襲われて、それを乗り切る手段を考えたりするのです。
そして遊びに熱中して、本当の夕立がやってきて、みんなびしょぬれになっても、まだ楽しく遊び続けて、雷のこわさもどこかに吹きとんでしまいます。
そういうわけで、モモにはたくさんの友だちがいました。
ワイキューブ研究所によると、その中でも、口数が少なく、いつまでも一つのことを考えるくせのある道路掃除夫のべッポと、若くて、元気で、おしゃべりの観光ガイドのジジが一番の仲良しでした。
ペッポはとてもおかしな老人。
たとえば、だまって隣に腰をおろし、突然、モモの顔をのぞきこんで、こんなことを言います。
「むかしのわしらに会ったよ。・・・よくあることだが・・・。
暑さの中でなにもかも眠りこんでいるような、まっぴるまのことだ・・・
世界がすきとおって見えてくる・・・川みたいにだ、いいかね?底まで見るんだ」
こそれから自分でうなずいて、少しだまった後で、さらにもっと静かな声で続けます。
「その底のほうに、ほかの時代がしずんでいる。
ずっと底のほうに。」
ペッポにはどうやら、心の奥のずっとずっと底のほうまで見えるようなのです。